〜 自分を大切にする人間関係のために 〜
共依存(Co-dependency)とは、特定の相手との関係に過度にのめり込み、相手の世話をすること・相手に必要とされることに自分の存在意義を見出してしまう関係パターンのことです。
もともとはアルコール依存症患者の家族に見られるパターンとして注目されましたが、現在ではより広い対人関係の問題として理解されています。
共依存は「性格の欠点」ではなく、学習された関係パターンです。多くの場合、幼少期の家庭環境の中で身につけた生き延びるための方法が、大人になってからの人間関係で困難を生じさせているのです。
つまり、気づいて適切に対処すれば変わることができます。
共依存的な傾向は、決して珍しいものではありません。程度の差はあれ、多くの人が共依存的なパターンを持っていると指摘されています。特にアルコール依存症や薬物依存症の家族の約40〜50%に共依存的傾向が見られるとされています(Beattie, 1986)。
近年では、アダルトチルドレン(AC)の概念とも関連づけて理解されることが多くなっています。
共依存の傾向は、感情・行動・思考のさまざまな面に現れます。以下のサインに心当たりはありませんか?
人を助けること自体は素晴らしいことです。しかし、以下のような点で「健全な思いやり」と「共依存」は異なります。
共依存の背景には、多くの場合、機能不全家族(dysfunctional family)での体験があります。子どもは不安定な環境の中で生き延びるために、周囲の顔色をうかがい、親の世話役を担うなどの役割を身につけます。
子どもは、このような環境で次のような「生存戦略」を学びます。これらは当時は必要だったものですが、大人になってからの人間関係では問題を生じさせることがあります。
「自分の感情より、相手の感情を優先すれば安全だ」「人に必要とされることが自分の価値だ」「問題を起こさなければ愛される」
自分の感情を抑え込み、相手の世話に没頭する。問題のある相手を「助ける」ことで自分の価値を確認しようとする。
共依存は、発達心理学の愛着理論(Bowlby, 1969)の観点からも理解できます。幼少期に安定した愛着関係を築けなかった場合、「不安型愛着」や「回避型愛着」のパターンを形成しやすくなります。共依存は、不安型愛着の特徴(見捨てられ不安、過度の親密さへの欲求)と深く関連しています。
共依存関係は、次のような悪循環を繰り返します。この循環を理解することが、脱出の第一歩です。
相手が困難な状況(依存、金銭問題、感情の爆発など)に陥る
「自分が何とかしなければ」「私がいないとこの人はダメだ」と感じる
自分のニーズを後回しにして、相手の問題解決に奔走する。尻拭いをしたり、相手の責任を肩代わりしたりする
本人が自分の問題と向き合う機会を奪ってしまい、結果として相手の問題行動が維持・悪化する
「こんなに尽くしているのに」という怒りや虚しさが募る。しかし「相手に必要とされている」感覚を失うことが怖くて関係を続ける
以下の項目に心当たりがあるかチェックしてみましょう。これは診断ツールではなく、自己理解のための参考です。
このチェックリストは自己理解のための参考です。気になる方は専門家にご相談ください。
境界線とは、「ここまでは受け入れられるが、これ以上は受け入れられない」という自分のラインのことです。これは相手を拒絶することではなく、自分を守りながら健全な関係を築くためのものです。
最近「本当は断りたかったのに引き受けてしまった」ことを1つ思い出してみてください。もしもう一度同じ場面があったら、どう伝えますか?
例:「お気持ちはありがたいのですが、今回はお手伝いできません」
共依存の方は、自分のニーズや感情に気づくこと自体が難しいことがよくあります。まずは「自分は今、何を感じているか」「自分は何を必要としているか」を意識することから始めましょう。
共依存からの回復には、他者からの評価に頼らない自己価値感を育てることが重要です。
アサーティブなコミュニケーションとは、相手の権利を侵害することなく、自分の気持ち・考え・ニーズを率直に、正直に、適切に伝える方法です。攻撃的でもなく、受動的でもない、その中間のバランスです。
相手を責めるのではなく、自分の気持ちを主語にして伝えるテクニックです。
「あなたはいつも約束を破る!」
「あなたのせいで疲れた」
「あなたは感謝が足りない」
「約束が守られないと、私は悲しく感じる」
「私は少し休息が必要だと感じている」
「努力を認めてもらえると、私はうれしい」
具体的な場面で自分の気持ちを伝えるための4ステップです。
最近、言いたかったけど言えなかったことを1つ選び、DESC法で文章にしてみましょう。最初は紙に書いて練習するだけでもOKです。
共依存からの回復は、時間がかかるプロセスです。「3歩進んで2歩下がる」ことも普通のことです。大切なのは、完璧を目指すことではなく、少しずつ変化を積み重ねていくことです。
1人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切です。以下のようなサポートがあります。
気になることがあれば、主治医にも相談してみてくださいね