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双極性障害を知ろう

スライドで学ぶ 大切な3つのポイント

いちばん大切な3つのこと

1 躁とうつの波がある脳の病気です。「性格」ではありません

脳の気分調節システムがうまく働かない状態。意志の力ではコントロールできません。

2 気分安定薬が治療の柱です。抗うつ薬だけでは悪化することがあります

リチウムやバルプロ酸などの気分安定薬が波を穏やかにします。うつ病と間違えて抗うつ薬だけで治療すると、躁転や急速交代のリスクがあります。

3 生活リズムを整えることが、いちばんの再発予防です

睡眠のリズムが乱れると波が来やすくなります。毎日同じ時間に起きることが大切です。

先生からのひとこと
「双極性障害は波のある病気ですが、お薬と生活リズムの工夫で、波を穏やかにすることができます。一緒にコントロールしていきましょう。」
🧠

双極性障害ってなに?

気分の波(躁とうつ)が、ふつうの人より大きくなる脳の病気です。

性格や心の弱さではなく、脳の気分を調節するしくみがうまく働かない状態です。

100人に1〜2人

がかかる、決して珍しくない病気です

ふつうの気分
↑ 躁
↓ うつ

紫の線=双極性障害の気分の波 灰色の線=ふつうの気分の変動

躁状態ってどんな感じ?

「元気すぎる」状態です。本人は調子が良いと感じますが、周りから見るといつもと違うことが多いです。

💫 エネルギー過剰 眠らなくても平気に感じる
💰 衝動的な行動 お金を使いすぎる、大きな決断をする
🗣️ おしゃべりが止まらない 考えが次々と浮かんでくる
😡 怒りっぽくなる ささいなことでイライラする

💡 ポイント:躁状態のときは本人が「治った」と感じて薬をやめてしまうことがあります。これが再発の大きな原因になります。

🌧️

うつ状態ってどんな感じ?

うつ病のうつとよく似た症状が出ます。双極性障害では、うつの期間のほうが長いことが多いです。

😴 起き上がれない 体が鉛のように重い
😧 興味がわかない 好きだったことも楽しめない
😭 自分を責める 「自分はダメだ」と思い込む
💔 死にたくなることも つらいときは必ず相談を

💡 大切なこと:双極性障害のうつ状態は「うつ病」と間違われやすいですが、治療法が異なります。正しい診断が回復の第一歩です。

📊

I型とII型のちがい

双極性障害にはI型とII型の2つのタイプがあります。

I型

躁が大きい
入院が必要になることも

II型

軽躁+長いうつ
うつ病と間違われやすい

II型が見逃されやすい理由

  • 軽躁のときは「調子がいい」と感じるため受診しない
  • うつの症状だけで受診すると「うつ病」と診断されることがある
  • 正しい診断まで平均7〜10年かかるとも言われています
🔍

なぜ間違われやすい?

双極性障害は最も診断が遅れやすい精神疾患のひとつです。

平均 7〜10年

正しい診断までにかかる時間

間違われやすい理由

  • うつ状態のときに受診することが多い
  • 軽躁状態は「調子がいいとき」と見過ごされる
  • 問診でうつの症状だけを話すことが多い

💡 こんなときは双極性障害かも

  • 抗うつ薬を飲んでもなかなか良くならない
  • 抗うつ薬で急にハイになったことがある
  • 気分の波が季節ごとに繰り返す
  • 家族に双極性障害の方がいる
🌀

混合状態とラピッドサイクリング

双極性障害には、典型的な躁・うつ以外にもつらい状態があります。

+ 🌧️ = 🌀

混合状態

躁とうつが同時に起こる状態です。エネルギーはあるのに気分は落ち込んでいる、イライラして落ち着かないのに絶望感がある、など。最もつらく、危険な状態のひとつです。

🔄 ラピッドサイクリング(急速交代型)

年に4回以上の気分エピソードが起こる状態です。

  • 治療が難しくなりやすい
  • 抗うつ薬の使用が原因になることがある
  • 気分安定薬の調整が特に重要
💊

治療の柱:気分安定薬

気分安定薬は、躁とうつの波を穏やかにするお薬です。双極性障害の治療の中心になります。

💙 リチウム(リーマス)

最も歴史のある気分安定薬。躁とうつの両方に効果があり、自殺予防効果も報告されています。定期的な血液検査が必要です。

躁にも うつにも 血液検査あり
💚 バルプロ酸(デパケン)

躁状態の予防に効果的。急速交代型にも使われます。妊娠中は使用できないことが多いです。

躁の予防に 急速交代型にも
💜 ラモトリギン(ラミクタール)

うつの再発予防に特に効果的。少量から始めてゆっくり増やします。まれに薬疹が出ることがあります。

うつの予防に ゆっくり増量

お薬の選び方は症状やタイプによって異なります。主治医と相談しましょう。

⚠️

なぜ抗うつ薬だけではダメ?

双極性障害のうつ状態に、抗うつ薬だけで治療すると悪化するリスクがあります。

⚠️ 抗うつ薬単剤のリスク

  • 躁転 ー うつから急に躁状態に切り替わる
  • 急速交代化 ー 躁とうつの波が速くなる
  • 混合状態 ー 躁とうつが同時に起こる
  • 不安定化 ー 気分の波がさらに大きくなる

✅ 正しい治療のかたち

双極性障害のうつには気分安定薬が基本です。抗うつ薬を使う場合は、必ず気分安定薬と一緒に使います。

「うつ病の薬が効かない」と感じたら、双極性障害の可能性を主治医に相談してみてください。

📈

お薬を続けることの大切さ

双極性障害は再発しやすい病気です。でも、お薬を続けることで再発を大きく減らせます。

心理教育を受けた患者さんの再発率

67%
心理教育なし
33%
心理教育あり

5年間の追跡調査の結果(Colom et al., 2003)

お薬をやめたくなったとき

  • 「治った」と感じても、波が来ていないだけかもしれません
  • 自己判断で中止すると、再発のリスクが高まります
  • 副作用がつらいときは、主治医に相談してください。薬の種類や量を調整できます
📚 エビデンス:気分安定薬の継続は再発率を40〜60%低下させることが複数の研究で示されています。特にリチウムは自殺リスクの低下にも関連しています。

生活リズムと再発予防

双極性障害では、生活リズムの乱れが波を引き起こすことがわかっています。毎日のリズムを整えることが、いちばんの再発予防です。

1日のリズム(例)

7:00
☀️
起床 ー 毎日同じ時間に起きる(いちばん大切)
7:30
🍳
朝食 ー 光を浴びながら食べる
12:00
🍛
昼食 ー 決まった時間に
15:00
🚶
軽い運動 ー 散歩や体操
19:00
🍲
夕食 ー なるべく決まった時間に
22:00
📴
スマホオフ ー ブルーライトを避ける
23:00
💤
就寝 ー 暗くして横になる

💡 IPSRT的考え方:対人関係・社会リズム療法(IPSRT)では、日々のリズムを安定させることが気分の安定につながるとされています。完璧を目指さず、「だいたい同じ時間」を意識しましょう。

🌊

自分の「波」に気づく

波の初期サインに気づくことが、早めの対処につながります。自分だけのサインを知っておきましょう。

⚡ 躁のサイン

  • 睡眠時間が減る
  • おしゃべりが増える
  • 出費が増える
  • 次々アイデアが浮かぶ
  • じっとしていられない
  • 「何でもできる」と感じる

🌧️ うつのサイン

  • 朝起きられない
  • 楽しいと思えない
  • 人に会いたくない
  • 集中できない
  • 食欲の変化
  • 「消えたい」と思う

📝 気分モニタリングのすすめ

毎日の気分を簡単に記録すると、波のパターンが見えてきます。「あれ?」と思ったら早めに主治医に相談しましょう。

👥

ご家族へ

双極性障害のある方のご家族は、対応に悩むことが多いと思います。特に躁状態のときの対応は難しいです。

「水を差す」のではなく、「一緒に気づく」という姿勢が大切です。

「またテンション上がってるよ、おかしいよ」
○ 「最近ちょっと寝る時間短くない?心配してるよ」
行動ではなく、具体的な事実を伝える
「薬飲みなさい!」
○ 「お薬の時間だよ。一緒に確認しようか」
命令ではなく、パートナーとして関わる
「いつまで寝てるの?怠けてるだけでしょ」
○ 「今日はつらい日なんだね。無理しなくていいよ」
うつ状態は「怠け」ではなく、病気の症状
「大きな買い物は絶対ダメ!」
○ 「調子がいいときのルールを一緒に決めておこうか」
調子が安定しているときに予防策を話し合う

💡 ご家族も大切にしてください:支える側も疲れます。家族会や相談窓口を利用して、自分自身のケアも忘れないでください。

🌸

まとめ

お疲れさまでした。最後に、大切な3つのことをもう一度確認しましょう。

1 脳の病気です

躁とうつの波がある脳の病気。「性格」ではありません。

2 気分安定薬が柱です

抗うつ薬だけでは悪化することがあります。気分安定薬で波を穏やかに。

3 生活リズムが再発予防

毎日同じ時間に起きる。それがいちばんの予防薬です。