🏠🔥

子どもからの暴力に悩んでいる方へ

〜 一人で抱え込まないでください 〜

わが子からの暴力。誰にも相談できない、恥ずかしい、自分の育て方が悪かったのか——そう思い詰めていませんか。家庭内暴力は珍しいことではありません。そして、あなたのせいではありません。このページでは、思春期の子どもからの暴力にどう向き合うかを、一緒に考えます。

家庭内暴力とは

👊

身体的暴力

叩く、蹴る、物を投げる

💬

言語的暴力

「殺す」「死ね」「出ていけ」、人格否定

💥

物的破壊

壁に穴を開ける、家具を壊す、ドアを蹴破る

💴

金銭の要求・脅し

「金出さないと暴れる」

👧

きょうだいへの暴力

弟や妹に暴力をふるう、脅す

🔒

支配・コントロール

家族の行動を制限する、家族を従わせる

💡 見えにくい暴力

「暴れるのは家の中だけ」というパターンがとても多いです。外では普通に見える → 周囲に話しても信じてもらえない → 孤立する——この悪循環が、問題をさらに深刻にしています。

なぜ起きるのか

「あなたの育て方が悪い」で片付けてはいけません。原因は複合的です。

🧠

脳の発達

前頭前皮質(衝動をコントロールする部位)は25歳頃まで発達途上です。思春期は感情のアクセルが強く、ブレーキが弱い時期。これは本人の「やる気」の問題ではなく、脳の構造的な特徴です。

🩺

精神疾患・発達特性

ADHD(衝動性)、ASD(感覚過敏・こだわり)、うつ(イライラ)、統合失調症の前駆症状、双極性障害の躁状態——これらが背景にある場合、適切な治療で暴力が大幅に減ることがあります。

😣

ストレスの蓄積

いじめ、不登校、友人関係、受験のプレッシャー。外で我慢している分、家で爆発する。家が「安全な場所」だからこそ暴力が出るという皮肉な構図です。

🏠

家庭環境

夫婦間の不和を見て育った、親からの過干渉・過保護、虐待の連鎖。家庭の中で学んだコミュニケーションパターンが暴力として表れることがあります。

🎮

ゲーム・ネット依存

昼夜逆転 → 自律神経の乱れ → 易怒性の増加。ゲームを止められると暴れる。依存そのものが暴力の引き金になっているケースが増えています。

💊

薬物

市販薬の乱用(咳止め等)、エナジードリンクの過剰摂取。本人が隠していることが多く、親が気づきにくい問題です。

🌿 大切な視点

原因は一つではなく、複数が絡み合っていることがほとんどです。原因を探ることは「犯人探し」ではなく、適切な治療につなげるために必要なステップです。

暴力が起きたときの対応

1

まず自分の安全を確保する

距離を取る、別の部屋に移動する、家を出る。「逃げる」ことは負けではありません。あなたが安全でいることが、家族全体を守ることにつながります。

2

応戦しない

叩き返す、力で押さえつけるのは逆効果です。暴力がエスカレートし、お互いがケガをします。「力で制する」は一時しのぎにしかなりません。

3

短い言葉で伝える

「叩くのはダメ」「今は離れるね」。長い説教は暴力の最中には届きません。短く、落ち着いた声で。

4

落ち着いてから話す

嵐が過ぎたあと、「さっきは怖かったよ」「何がつらかったの?」と声をかけてみてください。暴力の「直後」ではなく、お互いが落ち着いてからが大事です。

5

身の危険を感じたら110番

わが子でも、命の危険があれば迷わず通報していいのです。通報は「裏切り」ではなく「保護」です。あなたの安全も、子どもの将来も、守るための行動です。

やってはいけないこと

🚫 避けてほしい対応
  • 暴力に暴力で返す → エスカレートの悪循環に陥ります
  • 要求に応じてしまう → 「暴れれば通る」が成功体験になり、暴力が繰り返されます
  • 「あんたが悪い」と人格否定 → 行動を正すことと人格を否定することは違います
  • なかったことにする → 「もう忘れよう」は問題を先送りするだけです
  • 一人で抱え込む → 恥ずかしくても、専門家に相談することが最初の一歩です
  • きょうだいに「お兄ちゃんを怒らせないで」と言う → 被害者にまで我慢を強いていることになります

暴力のない日にやること

🤝

「暴力以外の方法」を一緒に決めておく

イライラしたら部屋に行く、枕を殴る、散歩に出るなど。穏やかなときに本人と話し合って決めるのがポイントです。暴力の最中に新しいルールを提案しても届きません。

👏

暴力しなかった日を認める

「今日はイライラしても暴れなかったね」——小さな変化を言葉にして伝えてください。「暴力しなかったこと」は、本人にとって大きな努力かもしれません。

📝

家族のルールを文字にして共有する

「暴力が出たら親は家を出る」「警察を呼ぶ」——脅しではなく、事前に合意したルールとして文字にしておきましょう。紙に書いて貼っておくのも有効です。

🔍

本人のストレス源を一緒に確認する

学校、友人、ゲーム、睡眠。何がストレスになっているかを本人と一緒に整理してみましょう。「原因を取り除く」よりも、「今つらいんだね」と受け止めることが先です。

💆

親自身のケアを忘れない

あなたが疲弊しているとき、限界は低くなります。自分のために休む時間を意識的に作ってください。あなたが倒れたら、家族全体が困ります。自分を大事にすることは、わがままではありません。

相談先

🆘 一人で抱え込まないでください
📞
児童相談所 全国共通ダイヤル
24時間、通話無料。
189(いちはやく)
🚨
警察
身の危険がある場合は迷わず。
110
💚
子どもの人権110番
法務局。
0120-007-110
🏠
地域の家庭支援センター
お住まいの自治体の窓口にご相談ください。

当院でできること

⚠️ 大切なお知らせ

当院では、暴力をふるっている本人(自傷他害のある方)の直接の治療は行っておりません。本人の治療が必要な場合は、児童精神科や入院設備のある医療機関をご紹介します。

当院がお力になれるのは、暴力の被害を受けて苦しんでいる親御さん・ご家族の相談とケアです。

🗣️

親御さん・ご家族のカウンセリング

暴力を受けている方は、恐怖・罪悪感・孤立感で心身ともに消耗しています。まずあなた自身の気持ちを安全に話せる場所として、診察をご利用ください。暴力への対応のコツ、巻き込まれないための技術も一緒に考えます。

💊

親御さん自身の治療

暴力を受け続けることで、不安障害・抑うつ・不眠・PTSDを発症する方は少なくありません。必要に応じてお薬の処方や、休養のための診断書を作成します。親が倒れたら家庭は回りません。

🧭

状況の整理と今後の方針

「どうすればいいかわからない」状態を、一緒に整理します。本人をどの医療機関につなぐか、児童相談所に相談すべきか、きょうだいの安全をどう守るか——具体的な次のステップを一緒に考えます。

👨‍👩‍👧‍👦

家族全体の調整

夫婦間で対応がバラバラだと状況は悪化します。対応方針の統一、きょうだいへの影響の確認、それぞれの家族の役割の見直しを助言します。

🧭

受診先の情報提供

本人の治療が必要な場合、児童精神科や入院設備のある医療機関の情報をお伝えします。どこに相談すればいいかわからない状態を、一緒に整理します。

💜

一人で抱え込まないでください

わが子からの暴力は、親にとって最もつらい経験のひとつです。「育て方が悪かった」と自分を責める必要はありません。暴力には必ず背景があり、適切な対応と治療で改善できるケースは多くあります。
一人で抱え込まず、まず相談してください。

📚 参考資料
👨‍👩‍👧 親子ガイド ✏️ ワーク一覧 トップに戻る →