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「学校に行きたくない」
と言われたら

〜 行き渋り・不登校の対応ガイド 〜

📖 このページについて

朝、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、どう対応すればいいか。このページでは、朝の対応フロー、起立性調節障害の理解、休む日の過ごし方、家庭学習の進め方、当院でできることをまとめました。焦らず、一つずつ確認してください。

🚀 朝の対応フロー

子どもが「行きたくない」と言えたこと自体が、あなたへの信頼の証です。まず深呼吸してから、ステップを確認してください。

STEP 1 まず安全確認

🛑 危険なサインはないか確認

いじめ・虐待・自傷のサインがないか確認します。身体にアザがある、持ち物が壊されている、「死にたい」と言っている場合は、すぐに学校に連絡し、次回の診察を待たずに当院にお電話ください。状況に応じて緊急の診察枠をお取りします。

STEP 2 気持ちを受け止める

💖 「行きたくないんだね」と受け止める

「何言ってるの!」「みんな行ってるでしょ」は禁句。まず「そうか、行きたくないんだね」と、気持ちを受け止めます。これだけで、子どもは安心します。

STEP 3 体の症状を確認

🤒 お腹が痛い? 頭が痛い? 朝起きられない?

身体症状がある場合、心因性(ストレスが体に出ている)の可能性があります。仮病と決めつけないでください。つらさは本物です。症状が続く場合は、次回の診察でお伝えください。必要に応じて身体疾患の除外のための検査を手配したり、不安や緊張を和らげるお薬を検討します。

特に「朝どうしても起きられない」「立ちくらみがする」「午前中はぐったりしているが午後から元気になる」という場合は、起立性調節障害(OD)の可能性があります。これは自律神経の問題で、気持ちの問題ではありません。診察でご相談ください。

STEP 4 理由を聞く(急かさない)

👁 「何かあった?」とやさしく聞く

すぐに答えられなくてもOK。「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えておく。問い詰めると逆効果。答えを急がず、待つことが大切です。

STEP 5 今日の過ごし方を決める

🏠 無理に行かせる? 休ませる?

状況に応じて判断しましょう。

  • 行ける場合:「1時間目だけ行ってみる?」「保健室に行く?」など、ハードルを下げる
  • 休む場合:「今日は充電日にしよう」と伝え、ダラダラ過ごすのではなく、ゆるい生活リズムを保つ

💧 起立性調節障害(OD)を知っていますか?

不登校の子どもの約3〜4割に起立性調節障害が関わっていると言われています。

🧠 ODとは?

自律神経の機能が未熟なために、朝の血圧が上がらず、起きたくても体が動かない状態です。

  • 朝起きられない(目覚ましが聞こえない、起こしても反応しない)
  • 立ちくらみ、めまい、動悸
  • 午前中はぐったり、午後から夕方にかけて元気になる
  • 夜になると目が冴えて眠れない(「怠けている」ように見える悪循環)

⚠️ 「怠けている」「気合が足りない」は禁句です。

本人が一番つらいのに、さぼりだと誤解されてさらに追い詰められるケースが非常に多いです。

💡 ODなら「午後から登校」ができるはず

起立性調節障害は午後には症状が改善するのが特徴です。つまり、ODだけが原因なら、遅刻してでも午後から登校できる可能性があります。

  • 「午前中は休んで、午後から行ってみよう」を提案する — 全休よりずっとよい選択肢
  • 起床時間を少しずつ早めることも治療の一環。水分・塩分摂取、日中の運動と合わせて、体のリズムを立て直していく
  • 午後からの登校を学校に相談し、遅刻扱いではなく配慮措置として認めてもらう(診断書が役立ちます)

逆に言えば、午後になっても動けない・午後から登校もできない場合は、ODだけでなく不安・抑うつ・発達特性など別の要因が重なっている可能性があります。その場合は、何が本当の壁になっているのか、診察で丁寧に評価していきます。

🏥 当院でのOD対応

  • 起立試験による客観的な評価
  • 生活指導 — 水分摂取(1日1.5〜2L)、塩分を多めに、朝食を必ずとる
  • 運動指導 — 日中の適度な運動で自律神経を鍛え直す
  • 必要に応じた昇圧薬などの薬物療法
  • 診断書の作成 — 午後登校・遅刻配慮を学校に依頼するために

⚠️ 無理に行かせるリスク

「行きたくない」を無視して毎日無理に行かせ続けると…

  • 心身症(腹痛・頭痛・過呼吸)が悪化する
  • 「助けを求めても無駄だ」と学習し、SOSを出さなくなる
  • 突然の完全不登校につながることがある
  • 親への信頼が崩れ、コミュニケーションが途絶える

📆 行き渋りが続くときの対応

  1. 学校に連絡する — 担任・スクールカウンセラーに状況を共有。連携が大切
  2. 生活リズムを崩さない — 起床・食事の時間は維持する。昼夜逆転を防ぐ
  3. 「学校以外の居場所」を探す — フリースクール、適応指導教室、図書館、習い事など
  4. 診察で状況を共有する — 当院では、お子さんの背景にある不安・抑うつ・発達特性の評価を行い、必要に応じてお薬の調整、診断書の作成(学校提出用)、学校やスクールカウンセラーとの連携の助言ができます
  5. 親自身もケアする — 不登校の親の会、カウンセリングなど。一人で抱えないで

⚠️ 「休ませる=何もしなくていい」ではありません

📵 ゴロゴロ+スマホ漬けが続くと、状況は悪化します

学校を休んでいる間、ゲームやスマホに浸る生活が続くと…

  • 昼夜逆転 — 夜更かし→朝起きられない→ますます登校が難しくなる
  • 体力の低下 — 横になる時間が増えると自律神経がさらに乱れ、起立性調節障害も悪化する
  • 学習の遅れ — 勉強が遅れるほど「もう追いつけない」という不安が大きくなり、復帰のハードルが上がる
  • 社会的孤立 — 画面の中だけの世界に閉じこもり、人と関わる力が落ちる
  • 自己肯定感の低下 — 「みんなは学校に行っているのに自分は何もしていない」という罪悪感が募る

休むことは必要なときもあります。でも、「休む=回復に向けた過ごし方をする」という意識が大切です。

🌱 休む日の過ごし方ガイド

「学校には行けないけど、一日を大切に過ごす」ための枠組みです。完璧にこなす必要はありません。できることから少しずつ。

⏰ 生活リズム

  • 起床は学校の日と同じ時間±1時間まで。カーテンを開けて朝日を浴びる。ODがある場合も、少しずつ起床を早める努力は治療の一環です
  • 着替える(パジャマのまま過ごさない)
  • 3食きちんと食べる。特に朝食は必ず(起立性調節障害の改善にも重要)
  • 夜はスマホ・ゲームを22時までにやめ、部屋を暗くする

📚 家庭学習(午前中がおすすめ)

  • 毎日30分〜1時間でいい。「できた」という感覚が自信を取り戻すきっかけになる
  • 学校の教科書・ドリル、タブレット学習(すらら、スタディサプリなど)
  • 好きなことの「調べ学習」でもOK(恐竜、料理、プログラミングなど)
  • 読書も立派な学び。図書館に一緒に行くのもよい外出のきっかけに
  • 学習記録をつけると、学校の出席扱いの申請に使える場合がある(担任に相談を)

🏃 体を動かす

  • 午後に15〜30分の散歩。コンビニまで、公園まで、など短い目標で
  • 起立性調節障害がある場合は特に、日中の適度な運動が自律神経の回復に重要
  • 一緒に歩く、買い物に行くなど、ハードルの低いものから

📱 ゲーム・スマホのルール

  • 「禁止」ではなく「時間を決める」(例:合計2時間まで)
  • 午前中の学習を終えてから
  • 食事中・就寝前1時間はスクリーンオフ
  • ルールは子どもと一緒に決める。親が一方的に決めると反発しやすい

🗣️ 夕方の振り返り

  • 「今日はどうだった?」と一言声をかける
  • 「何もできなかった」と言っても責めない。「起きて着替えられたね」と小さなことを認める
  • 明日の予定を軽く共有する(「明日は午前中ドリルやって、午後は散歩しよう」)

🏥 当院でできること

「学校に行きたくない」の背景には、さまざまな要因が隠れていることがあります。診察では以下のような対応を行います。

  • 背景の評価 — 不安障害・抑うつ・発達特性(ASD/ADHD)・起立性調節障害など、行き渋りの原因を丁寧にアセスメントします
  • 起立性調節障害(OD)の評価と治療 — 起立試験を行い、ODが疑われる場合は生活指導(水分・塩分摂取、運動)と必要に応じた昇圧薬などの薬物療法を行います
  • お薬の検討 — 強い不安や身体症状がある場合、少量の抗不安薬やSSRIで朝の苦痛を和らげることができます
  • 診断書の作成 — 学校への提出用に、お子さんの状態を説明する診断書を作成できます。出席扱いの配慮を学校に依頼する際にも使えます
  • 親御さんへの助言 — 「休ませるべきか」「どこまで背中を押すか」の判断を、お子さんの状態に合わせて一緒に考えます
  • 学校との連携 — スクールカウンセラーや担任との情報共有の仕方をアドバイスします。必要に応じて当院から情報提供書を出すこともできます
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