〜 治療の段階と、どこにも「見放される」場所はないということ 〜
精神科の治療は、ずっと同じ場所・同じ濃さで続くものではありません。
調子に合わせて、外来(通院)と入院を行き来します。入院は「外来に失敗した人が行くところ」ではなく、そのときのあなたに必要な"守りの濃さ"を選ぶこと。そして——どの段階にも、あなたが「見放される」場所はありません。
矢印は両方向。入院しても、よくなれば外来に戻ります。行ったきりではありません。
通院しながら、暮らしを続けたまま受けられる治療はたくさんあります。
通院間隔は、治療の"密度"です。調子が悪いときに「2週間に1回」を「1週間に1回」へと間隔を詰めるのも、れっきとした治療の一部。我慢して次の予約を待つのではなく、つらいときは早めに間隔を詰める相談をしてください。
外来は、24時間そばにいることができません。
診察と診察のあいだ、あなたを物理的に守る手段を、外来は持っていません。
だから、危険が切迫したときに「外来でがんばる」のは、治療として正しくないのです。
これは外来の"限界"であって、あなたの"がんばりが足りない"という話ではありません。守るための道具が違うだけ。切迫したときに必要なのは、24時間守れる場所です。
たとえば、こんなときです。
医師が入院を勧めるのは、あなたを罰するためでも、見放すためでもありません。
外来では守りきれない期間を、守れる場所で過ごすためです。
あなた自身が「入院する」と決めて、同意して入る入院です。多くの入院はこの形。自分の意思で入り、医師と相談しながら退院していきます。
強い症状などで、今は自分で判断するのが難しい状態のときに、家族(など)の同意と医師の判断で、本人に代わって"守る"判断をする仕組みです。これは見捨てる手続きではなく、あなたの人権を守るための手続きが、法律できちんと定められています。状態が回復すれば、本人の意思での入院(任意入院)や退院に切り替わっていきます。
「だいたいどれくらいを見込んでいますか」と聞いて大丈夫です。状態によりますが、見通しを聞くことは患者さんの当然の権利です。
「高額療養費制度」で自己負担には上限があります。あらかじめ「限度額適用認定証」を用意しておくと、窓口での支払いが上限までで済みます。費用の不安は、遠慮なく相談してください。
病院や病棟によってルールが異なります。「スマホは使えますか」「連絡はとれますか」と確認しておきましょう。
「退院したあと、どこに通うことになりますか」「元のクリニックに戻れますか」——退院後の見通しも、入る前に聞いておいて大丈夫です。
当院は、入院設備のないクリニックです。
入院が必要と判断したときは、入院できる病院へ、責任を持って紹介します。
それはバトンタッチであって、お別れではありません。
自殺の危険が強いあいだは、守れる場所で、安心して過ごしてください。
そして、その危険が去ったら——また、ここに戻ってきてください。
戻ってくる場所は、ここにあります。
統計的に、退院した直後は、もっともリスクが高くなりやすい時期だと知られています。だからこそ、退院後のフォロー——間隔を詰めた通院、暮らしの立て直し、つらい波への備え——を、当院がしっかり担います。入院は通過点。その後を一緒に歩くのが、かかりつけの役割です。