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レビー小体型認知症

見えるもの、調子の波、からだの動き。
特徴を知ることが、いちばんの支えになります

はじめに

「レビー小体型認知症です」と告げられて、どんな病気なのか、これから何に気をつければよいのか、不安な気持ちでこのページを開いた方も多いと思います。

このページは、ご家族とご本人に向けて、この病気の特徴と、今日からできることをまとめたものです。全部を一度に読まなくても大丈夫です。気になるところから、少しずつ読んでみてください。

いくつか、先にお伝えしておきたいことがあります。

  • 最終的な診断は、医師が診察や検査をもとに行います。このページだけで判断せず、気になることは主治医に相談してください。
  • 症状の出かたや進み方には、一人ひとり大きな差があります。ここに書いてあることが、すべてご本人に当てはまるわけではありません。
  • 治す方法はまだありませんが、お薬の工夫、接し方、住まいの環境、制度の利用で、暮らしやすさは大きく変わります。
⚠️ まず、これだけは覚えておいてください

レビー小体型認知症の方は、抗精神病薬というお薬で、少量でも重い副作用が出ることがあります。

ほかの病院にかかるとき・入院するとき・救急のときは、「レビー小体型認知症です」と必ず伝えてください。

くわしい説明と、お薬手帳に挟める「伝えるためのカード」へ ↓

どんな病気か

脳で起きていること

αシヌクレインというたんぱく質がかたまりになったもの(レビー小体)が、脳の広い範囲にたまっていく病気です。

レビー小体は、パーキンソン病でも見られるもので、レビー小体型認知症はパーキンソン病と同じ仲間の病気と考えられています。そのため、もの忘れなどの認知機能の症状だけでなく、からだの動きや自律神経(立ちくらみや便秘など)にも症状が出やすいのが特徴です。

どのくらい多いか、何歳くらいで始まるか

日本の調査では、認知症のうちレビー小体型(認知症を伴うパーキンソン病を含む)は数%と報告されています(朝田, 2013)。ただし、この病気はほかの病気と間違われやすく、見逃されやすいため、実際にはもっと多いと考えられています。

高齢の方に多い病気です。

この病気には、診断の手がかりになる4つの中心的な特徴があります。すべてがそろうとは限りません。

🌗 調子の波(認知機能の変動)

ぼんやりしている時間と、しっかりしている時間の差が大きい。日によって、また一日の中でも変わります。

👀 ありありとした幻視

そこにいない人・子ども・小動物・虫などが、くり返し、はっきりと見えます。

🛌 レム睡眠行動障害

夢に合わせて大声を出したり、手足を動かしたりします。認知症の症状より何年も前から出ることがあります。くわしく →

🚶 パーキンソン症状

動作がゆっくりになる、体がこわばる、小刻みに歩く、手がふるえる。

そのほかに、よくみられる症状

  • 転びやすい
  • 気を失う、または、ぼーっとして反応がなくなる時間がある
  • 自律神経の症状(立ちくらみ、便秘、トイレが近い、汗の異常)
  • においがわかりにくい
  • 日中の強い眠気
  • 気分の落ち込み、不安、意欲の低下
  • 「家に知らない人がいる」などの思い込み
💡 ほかの病気と診断されていることがあります

初めのうちはもの忘れが目立たないこともあり、うつ病やパーキンソン病、ほかの病気と診断されていることがあります。これまでの診断が違っていたとしても、それはこの病気が見分けにくいためで、ご家族の見落としではありません。

最初に気づきやすいサイン

ご家族が「あれ?」と感じやすいのは、たとえばこんな場面です。

👀
「そこに子どもが座っている」と言う

誰もいない部屋を指さして、人や動物、虫が見えると話す。本人にはとてもはっきり見えています。

🌗
昨日はしっかりしていたのに、今日はぼんやり

会話がかみ合う日と、ぼーっとして反応が鈍い日の差が大きい。同じ日の中でも変わります。

🛌
寝ている間に大声を出す、手足を振り回す

怖い夢を見ているように叫んだり、殴るような動きをしたりする。ベッドから落ちることも。

🚶
歩き方が小刻みになった、よく転ぶ

動作がゆっくりになった、体がこわばる、手がふるえる。

💫
立ち上がったときにふらつく、便秘が続く

立ちくらみや、なかなか治らない便秘。自律神経の症状のことがあります。

😪
昼間、ずっとうとうとしている

夜は眠っているはずなのに、日中の眠気が強い。

🏠
「家に知らない人がいる」と心配する

実際にはいない人が住みついている、と思い込んで不安になる。

🌧️
気分が沈み、何もしたがらない

うつ病のように見えて、実はこの病気の始まりだった、ということもあります。

進み方

🛌
何年も前から、前ぶれが出ていることがある

寝ている間に大声を出す・手足を動かす(レム睡眠行動障害)が、もの忘れなどより何年も前から始まっていることがあります。

🌗
良い日と悪い日の「波」がある

まっすぐ下り坂になるのではなく、しっかりしている時間とぼんやりしている時間をくり返しながら経過します。調子のよい時間には、驚くほどしっかり話せることもあります。

🚶
からだの症状が重なっていく

認知機能の症状に加えて、動きのぎこちなさ、転びやすさ、立ちくらみなど、からだの症状への備えが大切になっていきます。

進み方の速さには、一人ひとり大きな差があります。

また、いつもの波とは違って急に悪くなったときは、病気が進んだとは限りません。脱水や感染症などの体調の変化、新しく始めたお薬の影響のこともあります。早めに主治医に相談してください。

ほかのタイプとの違い

主な4つのタイプを比べました。色のついた列が、このページのレビー小体型です。

表は横にスクロールできます →

アルツハイマー型 血管性 レビー小体型 前頭側頭型
日本での割合(※1) 約7割 約2割 数%(※2) 約1%
最初に目立つこと もの忘れ(新しいことを覚えにくい) 意欲の低下、考えや動作のゆっくりさ 幻視、日による調子の波、動きのぎこちなさ 性格や行動の変化、言葉の障害
進み方 ゆっくり少しずつ 脳卒中のたびに段階的に(ゆっくり進むことも) 良い日と悪い日の波がある ゆっくり、行動の変化が先に目立つ
からだの症状 初期は少ない 歩きにくさ、飲み込みにくさ、手足のまひ 手のふるえ・こわばり、転倒、立ちくらみ、便秘 初期は少ない
始まりやすい年代 高齢に多い(65歳未満もある) 脳卒中の危険因子がある方に多い 高齢に多い 65歳未満での発症も多い

※1 厚生労働科学研究「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(朝田, 2013):アルツハイマー型67.6%、血管性19.5%、レビー小体型/認知症を伴うパーキンソン病4.3%、前頭側頭型1.0%
※2 レビー小体型は見逃されやすく、実際はもっと多いと考えられています
混合型(アルツハイマー型と血管性が重なるなど)も少なくありません。

診断のために行う検査

📝 お話と診察

いつ頃から、どんな変化があったかを、ご本人とご家族からうかがいます。幻視、調子の波、寝ている間の大声や動きは、診察室では見えにくい症状です。ご家族が気づいたことをメモしてきていただくと、とても役に立ちます。

あわせて、認知機能検査(HDS-R、MMSE など)や、手のふるえ・こわばり・歩き方などの神経の診察を行います。

🔬 画像などの検査

  • MRI:脳の形を見ます。記憶に関わる海馬の萎縮は、アルツハイマー型より軽いことが多いとされています。
  • 脳血流SPECT:脳のどの部分の働きが落ちているかを、血流で調べます。
  • MIBG心筋シンチグラフィ:心臓の自律神経の働きを調べます。
  • ドパミントランスポーターSPECT:体の動きに関わる神経の状態を調べます。
  • 必要に応じて、睡眠の検査で、寝ている間の様子を調べることもあります。

どの検査を行うかは、症状や通える医療機関によって異なります。専門の医療機関にご紹介することもあります。

🔎 治る可能性のある病気がないかも確認します

認知症のような症状は、慢性硬膜下血腫(頭をぶつけたあとに、ゆっくり血がたまる)、正常圧水頭症甲状腺機能低下症ビタミンB12欠乏などでも起こることがあります。これらは治療でよくなる可能性があるため、血液検査やCT・MRIで確認します。

治療

今のところ、レビー小体型認知症を治すお薬はありません。治療は、困っている症状をひとつずつ和らげて、暮らしやすくすることを目指します。症状が多いぶん、お薬の調整にはていねいさが必要な病気です。

💊 お薬による治療

  • ドネペジル:日本では、レビー小体型認知症にも使えるお薬です。症状を支えるお薬で、病気そのものを治すお薬ではありません。吐き気や食欲低下などの副作用が出ることがあります。
  • パーキンソン症状のお薬:動きやすくなる一方で、幻視などが強まることがあるため、様子を見ながら慎重に量を調整します。
  • 立ちくらみ・便秘・睡眠の症状への対応:それぞれの症状に合わせて、お薬や生活の工夫を組み合わせます。

幻視や興奮があっても、一般的な抗精神病薬は重い副作用が出やすいため、使うかどうかは主治医が特に慎重に判断します(くわしくはこちら)。

お薬を飲み始めたり量を変えたりしたあとに、いつもと違う変化があれば、次の診察を待たずに主治医に相談してください。お薬の個別情報

🌱 お薬以外の治療・支え

  • 住まいの工夫:部屋を明るくする、見間違えやすいものを減らす、転びにくくする
  • 生活のリズム:日中に体を動かし、夜にしっかり眠れるように整える
  • 介護サービス:デイサービスやリハビリ、訪問看護などで、ご本人とご家族の負担を分け合う
  • 便秘や立ちくらみへの生活の工夫(「接し方・ケアのコツ」をご覧ください)

接し方・ケアのコツ(このタイプならでは)

よくある場面と、試してみてほしい対応の例です。うまくいかない日があっても大丈夫。いくつか試して、ご本人に合う方法を探していきましょう。

👀 「そこに知らない人がいる」と怖がっている
対応「そんなものはいない」と否定するのも、「本当にいるね」と話を合わせるのも避けて、ご本人の怖さに寄りそいます。「怖かったね、一緒に見てみよう」と声をかけ、一緒に近づいてみます。
理由ご本人には本当に見えています。否定されると「わかってもらえない」と孤独になります。近づいたり触れたりすると消えることもあります。
💡 夕方や暗い部屋で、見間違いが増える
対応部屋を明るくし、影ができやすい場所、細かい柄のカーテンや壁紙、ハンガーにかけた服など、人や虫に見えやすいものを片づけます。
理由ぼんやりした形や影は、幻視や見間違いのきっかけになりやすいためです。
🌗 昨日はできたのに、今日はできない
対応大事な話し合い、通院、手続きなどは、調子のよい時間帯にすませます。調子の悪い時間は、無理をさせずに休む時間にします。
理由波は病気の症状で、怠けやわざとではありません。調子のよい日・時間帯の傾向をメモしておくと、予定を立てやすくなります。
🚶 立ち上がるときにふらつく、よく転ぶ
対応寝ている姿勢からいったん座り、ひと呼吸おいてから、ゆっくり立ち上がるように声をかけます。手すりをつける、段差をなくす、夜間の足元灯をつけるなど、住まいも整えます。
理由パーキンソン症状と立ちくらみが重なり、転びやすくなっています。立ちくらみのしくみは「自律神経ってなに?」でも説明しています。
🛌 寝ている間に叫んだり、手足を振り回したりする
対応ベッドの近くにぶつかると危ないものを置かない、ベッドから落ちたときの備え(低いベッドや床にマットなど)をする。同じ部屋で寝るご家族がけがをしないよう、寝る場所を少し離すことも考えます。
理由夢の中の行動が、そのまま体の動きになってしまう症状です。暴れているのではなく、ご本人も夢の中で必死なのです。気になるときは主治医に伝えてください。
🍃 便秘が続いている
対応水分をこまめにとる、食物繊維をとる、体を動かす、トイレの時間を決めるなどを組み合わせます。数日出ないときは、主治医に相談してください。
理由自律神経の働きが落ちて、腸の動きが弱くなりやすいためです。便秘は落ち着かなさや食欲低下にもつながります。
🌿 「できること」は取り上げずに

調子の波があるぶん、ご家族はつい先回りして何でも手伝いたくなります。けれど、調子のよいときにできることは、ご本人にしてもらうほうが、自信と生活の力を保ちやすくなります。

とくに気をつけたいこと

💊 いちばん大切な注意:抗精神病薬への過敏性

幻視や興奮に対して一般的に使われる抗精神病薬で、レビー小体型認知症の方は少量でも重い副作用が出ることがあります。

  • 体が固まって動けなくなる
  • 意識がもうろうとする
  • 高い熱が出る

そのため、次のようなときは、「レビー小体型認知症です」と必ず伝えてください。

  • ほかの病院(内科・整形外科・歯科など)にかかるとき
  • 入院するとき(手術や、けが・肺炎での入院も含みます)
  • 救急で運ばれたとき、救急車を呼んだとき

入院中は、環境の変化で混乱や興奮が起きやすく、落ち着かせるためのお薬が使われる場面があります。ご家族からも、病院のスタッフにはっきり伝えておくと安心です。

また、市販の風邪薬・かゆみ止め・睡眠改善薬にも、症状を悪化させる成分が含まれていることがあります。市販薬を買うときは、薬剤師に「レビー小体型認知症です」と伝えて相談してください。

いま飲んでいるお薬を、自己判断で急にやめるのは避けてください。気になるお薬があれば、主治医に相談しましょう。

🪪 伝えるためのカード

印刷して切り取り、お薬手帳に挟んでおくと、いざというときにそのまま見せられます。

⚠️ お薬についてのお願い
この方は
レビー小体型認知症と
診断されています
  • 抗精神病薬で、少量でも重い副作用が出ることがあります
  • お薬を使うとき・変えるときは、主治医の情報をご確認ください
お名前
主治医の医療機関
記入日
こころのアプリ
🚶
転倒

パーキンソン症状、立ちくらみ、ぼーっとする時間が重なり、転びやすくなっています。ゆっくり起き上がる、手すり、段差の解消、夜間の足元灯で備えましょう。立ちくらみと自律神経

😶
気を失う、反応がなくなる

ぼーっとして反応がなくなる時間や、気を失うことがあります。はじめて起きたとき、長く続くとき、頭を打ったときは、ためらわず医療機関に相談してください。そのときも「レビー小体型認知症です」と伝えてください。

🛌
夜間の安全

寝ている間の行動によるベッドからの落下や、同じ部屋のご家族のけがに注意します。高齢者の睡眠ケア

🚗
運転

調子の波や、見間違い、動きのぎこちなさは、運転に大きく影響します。運転については主治医と早めに話し合いましょう。認知症と運転免許

よくある質問

Q幻視の話をされたら、「見えない」と言ったほうがいいですか?
ご本人には本当に見えているので、強く否定すると、怖さや「わかってもらえない」気持ちが強まります。かといって「いるね」と話を合わせ続けると、不安が大きくなることもあります。「見えているんだね、怖かったね」と気持ちを受け止め、一緒に確かめるのがおすすめです。怖がる様子が強いとき、生活に困るときは主治医に相談してください。
Q調子のよい日は普通に話せるのに、なぜ急にできなくなるのですか?
「認知機能の変動」という、この病気の中心的な症状です。わざとでも、怠けでもありません。調子のよい時間帯を見つけて、大事なことはその時間にすませるようにすると、ご本人もご家族も楽になります。いつもの波と違って急に悪くなったときは、体調の変化やお薬の影響のこともあるので、主治医に相談してください。
Q寝言や寝ている間の動きが激しいのは、この病気と関係ありますか?
夢に合わせて大声を出したり手足を動かしたりするレム睡眠行動障害は、この病気でよくみられる症状で、もの忘れなどより何年も前から出ていることもあります。ベッドまわりの安全を整えたうえで、様子を主治医に伝えてください。高齢者の睡眠ケアもあわせてご覧ください。レム睡眠行動障害のくわしい解説と、寝室の安全対策も用意しています。
Q風邪をひいたとき、市販薬を飲んでもいいですか?
市販の風邪薬・かゆみ止め・睡眠改善薬には、症状を悪化させる成分が含まれていることがあります。買う前に薬剤師に「レビー小体型認知症です」と伝えて相談するか、主治医に確認してください。お薬手帳を持っていくと、確認がスムーズです。
Qパーキンソン病とは違う病気なのですか?
どちらもレビー小体が脳にたまる、同じ仲間の病気です。もの忘れや幻視などの認知機能の症状が目立つか、体の動きの症状が目立つかなど、症状の出かたによって診断名が分かれます。初めはパーキンソン病やうつ病と診断されていて、あとからレビー小体型認知症とわかることもあります。
Q以前、うつ病と言われていました。診断が間違っていたのでしょうか?
この病気は、初めのうちはもの忘れが目立たず、気分の落ち込みや意欲の低下が前に出ることがあり、見分けるのがとても難しい病気です。経過を見るなかで、はじめて特徴がはっきりしてくることも少なくありません。大切なのは、いまわかったことを、これからの治療とケアに活かすことです。

相談先と関連ページ

🤝 ひとりで抱えこまずに、相談できるところ

  • かかりつけ医・主治医:症状の変化やお薬のこと。ほかの病院にかかるときの情報提供も相談できます。
  • 認知症疾患医療センター:詳しい検査や診断、専門的な相談。
  • 地域包括支援センター:介護保険の申請、介護サービス、暮らしの困りごとの相談。お住まいの市区町村にあります。

🌗 このページで伝えたかったこと

幻視も、調子の波も、動きのぎこちなさも、
病気の症状です。ご本人のせいでも、ご家族のせいでもありません。

見えているものへの怖さに寄りそい、
調子のよい時間を大切にし、転ばない住まいを整える。
それだけでも、毎日はずいぶん変わります。

そして、ほかの病院・入院・救急のときは
「レビー小体型認知症です」と必ず伝える

これが、ご本人を守るいちばんの方法です。

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📚 参考資料